
食品プロジェクトマネージメント検定とは?食品工場の課題を自動化で改善するノウハウが学べる
食品工場の人手不足や生産性向上への対応策として、ロボットや自動化設備の導入を検討する企業が増えています。
しかし、自動化設備を導入すれば、必ず現場の課題が解決するとは限りません。
「どの工程を自動化するのか」
「品質への影響はないか」
「設備投資を何年で回収できるのか」
「前後の工程を含めて、本当に生産性が向上するのか」
こうした点を整理しないまま設備を選ぶと、期待していた効果が得られなかったり、別の工程がボトルネックになったりすることがあります。
食品工場の自動化を進めるには、設備やロボットの知識だけでなく、品質・生産・コストを横断して考える人材が必要です。
そのための知識を体系的に学べる検定として設けられているのが、「食品プロジェクトマネージメント検定」です。
本記事では、食品業界に携わる方にこうした学びの機会があることを知っていただくとともに、食品工場の自動化や設備導入を検討する際の参考情報として、「食品プロジェクトマネージメント検定」についてご紹介します。
食品プロジェクトマネージメント検定とは
食品プロジェクトマネージメント検定は、食品工場が抱える課題を自動化によって解決するために必要な知識を学ぶ検定です。
主な学習分野は、次の3つです。
- 品質管理
- 生産管理
- 会計管理
食品工場の自動化では、生産能力や省人化だけでなく、食品の安全性、品質の安定、歩留まり、納期、投資回収など、さまざまな要素を考える必要があります。
本検定では、これらを個別に学ぶのではなく、食品工場の自動化を計画・推進するための知識として体系的に学びます。
なぜ自動化に「品質・生産・会計」の知識が必要なのか

品質管理
食品工場では、設備の導入によって生産速度が上がったとしても、商品の品質や安全性が損なわれては意味がありません。
検定では、食品衛生や品質管理の基本に加えて、設備導入の目的、導入に伴うリスク、工程データの収集、QC七つ道具などを学びます。
設備の導入前後で品質をどのように維持するか、どのようなデータを確認すべきかを考えるための知識です。
生産管理
自動化の対象を決めるには、工場全体の流れを確認し、どこにボトルネックがあるかを把握する必要があります。
検定では、原材料ロス、歩留まり、人件費、サイクルタイム、タクトタイム、工場内レイアウト、要求仕様書の作成などを学びます。
また、メーカーや商社に自社の目的を正確に伝え、提案された設備や構想を評価するための考え方も扱われています。
会計管理
自動化設備は、導入すればすぐに利益が出るものではありません。
設備の購入費だけでなく、設置工事、周辺設備、保守、消耗品、教育なども含めて、投資効果を考える必要があります。
検定では、減価償却、投資回収期間、予算作成、資金調達、補助金・税制など、設備投資を判断するための会計知識を学びます。
食品プロジェクトマネージメント検定の2級と1級について
食品プロジェクトマネージメント検定には、2級と1級があります。
2級|自社工場の課題を発見するための基礎を学ぶ
2級は、これから食品工場の自動化に携わる方や、自動化の考え方を基礎から学びたい方向けの内容です。
食品製造業での実務経験がない人にも理解しやすい内容とされており、受検資格に制限はありません。
2026年8月時点で公式サイトに掲載されている主な内容は、次のとおりです。
項目 | 内容 |
|---|---|
受検資格 | なし |
学習分野 | 食品工場の自動化に必要な品質管理・生産管理・会計管理に関する知識 |
教材 | 教科書、解説動画 |
標準学習期間 | 1か月(総学習時間約12時間想定) |
受講期限 | 3か月(90日) |
試験 | オンラインによる4択選択式、各分野50問 |
合格基準 | 3分野それぞれ正答率80%以上 |
受験料 | 3万円(税抜) |
団体料金 | 5名以上の場合、1名27,000円(税抜) |
再試験 | 1回に限り3,000円(税抜) |
2級では、食品工場を品質・コスト・納期などの観点から確認し、自社工場の課題や自動化を検討できる工程を見つけることが目標とされています。
試験は品質管理・生産管理・会計管理の3分野から各50問出題され、各分野で正答率80%以上、すなわち50問中40問以上の正解が合格基準です。
1級|自動化プロジェクトを推進する実践力を学ぶ
1級は、2級合格者を対象とした、より実践的な内容です。
食品工場の課題を把握し、自動化する工程を選定したうえで、品質面のリスク、設備投資効果、保守方法などを含む自動化構想をまとめる力を学びます。
オンライン学習と試験に加え、講習会への参加や仕様書の提出が含まれています。
公式サイトでは、標準学習期間45日、受験料10万円(税抜)と案内されています。自社工場の自動化を推進するリーダーや責任者、食品業界向けの設備を扱うメーカー・商社の担当者などを対象とした内容です。
※検定内容、受験料、申込方法は変更される可能性があります。受検を検討する際は、一般社団法人日本食品自動化協会の公式情報をご確認ください。
食品メーカーが検定を活用するメリット
社内で自動化について話し合うための共通言語ができる
自動化の検討では、製造、品質管理、生産技術、経営、購買など、複数の部門が関係します。
検定を通じて品質・コスト・納期の基本的な考え方を共有することで、「何のために自動化するのか」「どの効果を優先するのか」を社内で話し合いやすくなります。
設備ありきではなく、課題から考えられるようになる
「ロボットを入れたい」「新しい包装機を導入したい」という設備起点の検討では、工場全体にとって最適な投資にならないことがあります。
先に現場の課題やボトルネックを整理することで、本当に自動化すべき工程や、設備導入以外の改善方法も検討しやすくなります。
メーカーや専門商社に相談しやすくなる
設備メーカーや専門商社に相談する際、自社の現状、目的、必要な生産能力、品質条件、予算などが整理されていると、より具体的な提案を受けやすくなります。
検定では、要求仕様書や自動化検討書、メーカーとの折衝に関する内容も扱われています。
受講事例)食品プロジェクトマネージメント検定の活用
一般社団法人日本食品自動化協会の公式サイトでは、食品メーカーや食品関連企業による受講事例が紹介されています。
くら寿司株式会社では、新入社員や若手社員の教育に活用し、品質・コスト・納期を意識して自動化を考えるための基礎知識を学んでいます。
三島食品株式会社では、現場で働く人が手作業を当たり前と考えるのではなく、課題を整理して装置メーカーと自動化を検討できるようになったと紹介されています。
また、食品機械メーカーや包装資材関連企業などでも、設備の仕様だけでなく、導入後の品質・コスト・生産性まで含めて提案するための教育に活用されています。
山善TFS支社でも検定の知識をお客さまへの提案に活用しています
一般社団法人日本食品自動化協会の公式サイトには、山善TFS支社の受講インタビューも掲載されています。
検定を通じてQCD、すなわち品質・コスト・納期の観点から自動化の進め方を整理できるようになり、設備の話だけでなく、導入目的や優先順位を踏まえた提案がしやすくなりました。
食品工場の自動化では、個別の機械やロボットに詳しいだけでは十分ではありません。
食品工場の工程全体を見ながら、品質、安全性、生産能力、投資効果などを整理し、複数のメーカーや技術を組み合わせる視点が必要です。
山善TFS支社では、検定で扱われるような考え方も踏まえながら、お客様の現場課題に応じた設備や自動化方法をご提案しています。
人材開発支援助成金を利用できる可能性も
企業が従業員の教育として検定を導入する場合、一定の条件を満たすことで、厚生労働省の「人材開発支援助成金」を利用できる可能性があります。
人材開発支援助成金は、事業主が従業員に職務に関連する訓練を行った場合に、訓練費用や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
2026年度も制度は実施されていますが、対象となる訓練や申請時期、必要書類、助成率などには条件があります。また、2026年には申請書類や手続きの一部が改定されています。
検定の受講を決定してからでは申請に間に合わない場合もあるため、助成金の利用を検討する場合は、受講申込みの前に管轄の労働局や社会保険労務士などへ確認してみてください。
食品プロジェクトマネージメント検定の知識を工場改善につなげるために
食品プロジェクトマネージメント検定は、自動化設備そのものの操作資格ではありません。
検定の役割は、食品工場の課題を発見し、品質・生産・会計の視点から、自動化を計画するための知識を身につけることです。
実際に自動化を進める段階では、次のような検討が必要になります。
- 現在の工程や作業時間の調査
- ボトルネック工程の特定
- 自動化する工程の優先順位決定
- 必要な生産能力や品質条件の整理
- ロボット、搬送装置、包装機、検査装置などの選定
- 前後工程との接続や工場レイアウトの検討
- 費用対効果や投資回収期間の試算
- 導入後の保守・運用体制の構築
「どの工程から自動化すればよいか分からない」
「複数のメーカーを比較したい」
「設備単体ではなく、ライン全体を見直したい」
「省人化だけでなく、品質や作業環境も改善したい」
このようなお悩みがある場合は、山善TFS支社へご相談ください。
専門商社として、特定の設備だけを前提とするのではなく、工場の課題や目的を整理しながら、設備・ロボット・搬送・検査などを組み合わせた自動化をご提案します。




