技術コラム食品工場におけるX線検査装置の選び方
(検査課題・用途別)

本記事では、これから食品工場においてX線検査装置導入を検討している製造業者のために、自社の課題にあったX線検査装置を探していだけるよう、検査課題や用途別に装置をご紹介します。X線検査装置の選び方を知りたい、課題や用途に応じてどのような種類の装置を選べば良いのか分からない、という方はぜひご覧ください。

X線検査装置とは

X線検査装置とは、食品や医薬品、電子部品やパッケージ、建設部品などの内部を検査するための装置です。X線を対象に照射して、透過したエネルギーを画像に変換して解析をします。
医療で検査に使われるレントゲンがイメージしやすいでしょう。レントゲンもX線を照射して骨や肺などの状態を画像で確認して診断します。
目に見えない内部を検査するために、対象を破壊して中を直接観察するしかない場合があります。そうした場合でもX線検査装置であれば、そのまま外側からX線によって内部の検査ができるため、商品を壊すことなく品質保証をすることができます。
検査可能な物質は、金属やプラスチック、ガラス、ゴム、石などです。また、X線検査装置の種類によっては、髪の毛や小さな虫、薄くて小さい紙やビニールなども検出できます。
X線検査装置は異物の検出だけではなく、数量の検査や充填レベルの検査、噛み込み検査や長さなどの寸法の検査、質量の検査も可能です。

食品工場における課題や用途別|X線検査装置の選び方

食品工場におい生じる課題や用途別にX線検査装置の選び方やお薦めの装置を紹介します。

課題(用途)1 食品パッケージの目視検査自動化

食品を製造するときは、不良品がないか検査をする必要があります。より効率よく検査するために、作業者による目視検査から自動検査へ変わってきています。ここでは目視検査における課題とお薦めのX線検査装置を紹介します。

食品の目視検査における課題

以前は、食品を目視で検査する方法が主流でした。しかし、作業者の確保が難しくなってきています。食品の検査を自動化することによって、検査効率を高め、生産量を増やすことが可能となります。

お薦めX線検査装置の種類

サイエナジーの「X線センサシステム LINE型」はラインセンサーを使ってX線の透過量を計測します。食品パッケージのシール部分に内容物が挟まっていないかを検査できます。 「X線センサシステム LINE型」は小型で低価格が特徴です。現在パッケージの包装機を使っている場合であっても、小型のためラインへの導入が容易です。

X線センサシステム LINE型
X線センサシステム LINE型
ラインセンサを用いて
目視では難しい食品パッケージの噛み込みを高精度に検知

課題(用途)2 食品パッケージ内部の検品

食品パッケージは透明なパッケージばかりではありません。色が付いていたりアルミ蒸着されていたりして中が見えない場合も多くあります。食品パッケージのシール部分に内容物を噛み込んでいないか、中身の個数が適切かなどを検査しなければなりません。

食品パッケージ内部の検査における課題

透明なパッケージであれば目視で検査できますが、中身が見えない場合は検査ができません。例えば、シール部分の噛み込みや、内容物の個数の検査などはパッケージが透明でなければ難しいでしょう。

お薦めX線検査装置の種類

サイエナジーの「X線センサシステム SPOT型」はエリアセンサでX線の透過量を計測し検査をします。食品パッケージの噛み込み検査や内容物の数を検査するなど、さまざまな用途で利用できます。
光学センサやカメラなどでは、中が見えないパッケージの検査は困難ですが、X線を用いることで検査を可能にしています。
本体サイズは大きくないので、すでに製造ラインが出来上がっていても後から組み込むことができる可能性があります。インラインで自動検査をすることで、品質のいい商品を効率よく製造できます。

X線センサシステム SPOT型
X線センサシステム SPOT型
食品パッケージの噛み込み検査をはじめ、
食品工場で課題となりがちな位置ずれや枚数検査など多様な用途で活用

課題(用途)3 検出感度を上げる

X線検査装置にはさまざまな種類があります。噛み込みは内容物の種類によっては、検出の感度が低くて検査しにくい場合があります。

検出感度の課題

X線は、エネルギーが高く波長の短い電磁波で、食品パッケージや日用品のパッケージなどさまざまな素材を透過します。X線検査装置は、X線がパッケージを透過するときにエネルギーが減衰することを利用して、画像解析によって検査します。
しかし、照射するX線のエネルギーが高すぎるために、異物などを噛み込んでいる場合であっても検出できない場合があります。検出感度が低い場合は画像解析しても異常を特定することが難しくなります。

検出感度が高いX線検査装置の種類

検出感度を高くするためには、軟X線検査装置がおすすめです。軟X線検査装置は、エネルギーが低いX線を使っています。エネルギーが低いと物質を透過する力は弱くなりますが、その分噛み込みに対してX線の感度がよくなります。
噛み込み検査の感度が低い場合には、軟X線検査装置を使用した高感度な不良品検出が必要となるでしょう。

軟X線検査装置 FIX-5
軟X線検査装置 FIX-5
検出感度を上げるなら軟X線検査
サイズの大きい製品の検査にも対応

課題(用途)4 検品誤検知を減らす

ラインに流れてくる商品の状態によって誤検知が発生する場合があるので、できるだけ誤検知の少ない検査装置を使うといいでしょう。

商品の姿勢の課題

X線検査装置で検査する対象が、いつも同じ向きであるとは限りません。商品が少し傾いてX線検査装置に搬送される場合、検査画像も傾いてしまいます。そのような場合、画像解析で誤検知が発生する可能性があります。

検品誤検知を減らすX線検査装置の種類

搬送時に商品が傾いたことによる誤検知を減らすには、傾き補正ができるX線検査装置がお薦めです。例えば、サイエナジーの軟X線検査装置 FIX-7では、最大45度までの傾き補正が可能です。検査時に傾いていたとしても、画像の向きをそろえて解析をするので誤検知を減らすことができます。

軟X線検査装置 FIX-7
軟X線検査装置 FIX-7
装置機長は業界最小レベルの360mm
従来機と比べ設置面積半分のコンパクト設計

課題(用途)5 検査の高速化

食品などを製造する場合、生産速度が高いほど効率よくたくさんの商品を生産できます。したがって、検査装置も高速化に対応できる必要があります。

検査速度の課題

X線検査装置は検査で不良品と判断した場合には、ラインから不良品を取り除かなければなりません。高速な製造ラインに対応するためには、X線検査装置に高いスペックが求められます。

高速検査が可能なX線検査装置

サイエナジーの軟X線検査装置 FIX-6は高速検査に対応しています。検査速度は毎分60mまで対応可能です。さらに、不良品があった場合にエアーで取り除く機能もあります。したがって、不良品が発生してもラインを止めることなく、連続で生産ができます。
検査と併せて不良品排除も自動でできるので、効率よく製造・生産ができます。

軟X線検査装置 FIX-6
軟X線検査装置 FIX-6
高速検査に対応
最大60m/minでの検査が可能

食品や医薬品のパッケージングに最適な軟X線検査装置とは

食品やパッケージングに最適な軟X線検査装置をご紹介します。

軟X線検査とは

X線は波長が非常に短い電磁波でエネルギーも高いのですが、比較的エネルギーが低いX線を軟X線と呼びます。高エネルギーのX線は透過する力が強いので、分厚いパッケージやプラスチック、金属なども透過できます。軟X線はエネルギーが低いため、物質を透過する力も弱いものです。
しかし、食品や医薬品などのパッケージ素材が薄く密度が低い場合の検査には、軟X線が最適です。

軟X線検査が食品や医薬品のパッケージングに最適な理由

軟X線は物質を透過する力が弱いため、薄い対象に対して高い感度があります。このため薄い包材フィルムなどの検査に向いています。
噛み込み検査をする場合は、X線のエネルギーが高すぎると、透過するX線が減衰する割合が少ないために感度が下がります。軟X線は薄い包装材を使っている食品や医薬品の検査に適しています。また、エネルギーが低いX線を使っているため、食品など内容物に対して影響を与えません。商品を劣化させずに検査を行える点も軟X線検査装置が適している理由です。