技術コラムソースマーキングとインストアマーキングを
活用した流通管理方法

世の中にはさまざまな商品が流通しており、それらを管理するためには商品情報を記載、あるいはバーコードのようにマーキングしたラベルが必要不可欠です。この記事では、マーキングを活用した流通管理方法を解説します。

ソースマーキングとインストアマーキングを活用した流通管理方法

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ソースマーキングとは

ソースマーキングの「ソース」とは、製造元や販売元、つまり小売店より前の段階のことをいいます。これらの業者が行うマーキングのことをソースマーキングといいます。ソースマーキングは、小売店に納品される段階ですでに印字されているもので、小売店では商品をそのまま店頭に並べて販売できます。

印字にはJANコードと呼ばれる13桁(標準タイプ)や8桁(短縮タイプ)のバーコードを使用します。JANコードの中には国、企業名、商品アイテムなどを識別するコードが含まれていますが、価格の情報は含まれていません。そのため、事前に商品名や価格を登録したデータベース(ストアコントローラ)と連動することで、価格を把握します。

インストアマーキングとは

一方、インストアマーキングは、小売店が行うマーキングです。例えば、パック詰めされた精肉や魚の刺身など、小売店でしかマーキングできない場合に使用するものです。また、ソースマーキングとは異なり、原則的には小売店が自由に設定できます。ただし、ソースマーキングに使用するものと同じスキャナーで読み取るため、インストアマーキングにおいてもJANコードが使用されています。

ソースマーキングでは国を示す最初の2桁が45、あるいは49ですが、インストアマーキングでは20〜29のいずれか、あるいは02が使用されます。また、インストアマーキングを行った商品は一般消費者のみに販売できるもので、卸売業者や他の小売業者には販売できません。ほかにも、インストアマーキングは、ソースマーキングと同様に価格情報を持たないタイプと、価格情報を持っているタイプがあります。

自社管理ラベルとSCMラベルについて

自社管理ラベルとは

自社管理ラベルの中には製造ラベル、商品管理ラベル、物流ラベルなどさまざまなものがあります。

製造ラベルとは主に工業製品に取り付けられるラベルであり、以下のような内容を表示します。

  • 品名
  • 商品コード
  • ロットNo.
  • シリアルNo.  など

商品管理ラベルとは主に工業製品に取り付けられるラベルであり、製造ラベルと同様に商品の情報を表示、そして管理するものです。以下のような内容を表示します。

  • 原材料
  • 生産地
  • 賞味期限    など

一方、物流ラベルはPDラベル(Physical Distribution Label)とも呼ばれ、商品の出荷先(納品先)や個数など、物流を管理する上で必要な内容を表示するものです。なお、製造ラベルや商品管理ラベルは商品一つに対して一枚であるのに対して、物流ラベルは複数の商品を入れた箱に対して一枚になります。

物流ラベルがないと、例えば検品するとき、箱の中を確認して商品一つひとつを検品しなければなりません。そのため、物流ラベルがあると、検品や出荷など物流における管理の手間を大幅に削減できます。

SCMラベルとは

物流ラベルは管理の手間を大幅に削減できるものですが、システムと連携できるラベルではありません。物流ラベルをシステム連携できるようにして、オンライン上で商品を管理できるようにしたのがSCMラベル(Shipping Carton Marking Label)です。

SCMラベルは仕入先が出荷時に発行するラベルで、ラベルの情報であるASN(Advanced Shipping Notice=出荷前情報)がシステムを介して納品先と共有されます。そのため納品先では、実際に納品された商品のSCMラベルに印字されたバーコードをスキャンすることで検品できます。

流通管理コードで採用されているマーキング技術

流通管理コードで採用されているマーキング技術

バーコード

バーコートとは、バー(棒)の太さとバー同士のスパン(間隔)で数字や文字などを表現するものです。バーコードそのものは人間が読めるものではなく、スキャンすることで情報を読み取れます。

バーコードは大きく次のようにエリア分けされます。

  • バーコードシンボル
  • クワイエットゾーン

バーコードシンボルとは、前述のバーが印字されているエリアのことです。そして、バーコードシンボルの左右にある余白のことをクワイエットゾーンといいます。一般的に最も外側のバーから2.5mm以上の余白が必要とされており、クワイエットゾーンがないとバーコードを正常に読み取れません。

また、バーコードシンボルは次のように分かれています。

  • スタートキャラクタ
  • ストップキャラクタ
  • データ
  • チェックデジット

文字列のうち、最初の一文字をスタートキャラクタ、最後の一文字をストップキャラクタといいます。スキャンしたとき、文字列の始まりと終わりがわかるようにするものです。
データはその名の通り、数字や文字などの情報です。そして、チェックデジットはデータの最後の一文字とストップキャラクタの間に印字されるもので、バーコードの正誤を判断するために使用されます。

バーコードと一口に言っても、その規格はさまざまです。代表的な規格を以下に示します。

  • JAN/EAN/UPC
  • ITF(Interleaved2of5)
  • NW7(Codabar)
  • Code39
  • Code128
  • GS1-128
  • GS1 DataBar

二次元コード

長手方向にしか情報を持たないバーコードに対して、縦横両方向に情報を持つのが二次元コードの特徴です。バーコードはバーとそのスパンで情報を表現していたのに対して、二次元コードではセルと呼ばれる黒、あるいは白の正方形を組み合せて情報を表現します。二次元コードの代表的な規格としてQRコード(Quick Responseコード)が挙げられます。

QRコードの四隅のうち三か所には、ファインダパターンと呼ばれる位置検出量のパターンがあります。またQRコードは、垂直・水平・斜め45°のいずれの位置から読み取っても黒いセルと白いセルの比率が1:1:3:1:1になるようになっています。これらにより、QRコードはあらゆる向きからの読み取りに対応しています。

バーコードにあったクワイエットゾーンはQRコードにも存在しますが、歪みによって生じる各セルの位置ずれ補正するアライメントパターンなど、バーコードにはないQRコードだけの特徴もあります。

RFIDタグ

RFID(Radio Frequency IDentification)タグとは、電波を使って情報を送受信するものです。バーコードをスキャンするときは、スキャナーを至近距離まで持っていく必要があります。しかし、RFIDは通信距離が長いため、商品が高い場所や遠い場所にあっても、商品の近くまで行くことなく情報を読み取れます。

また、電波さえ届けば情報を読み取れるため、複数のタグを同時に読み取ることも可能です。通信距離を任意に変えられるタイプもあるため、遠くにある商品のタグだけを読み取りたい、あるいはその反対の場合にも対応できるのが特徴です。あるいは、条件をつけて特定のタグのみを読み取ることもできます。

RFIDタグは電波を使用するため、電源が必要です。リーダー/タグのどちらに電源を持たせるかという観点で、次のように分類できます。

  • パッシブタグ
  • アクティブタグ
  • セミパッシブタグ(セミアクティブタグ)

パッシブタグとは、タグ側で電源を持たずリーダーからの電波をエネルギーとして利用するタグです。RFIDタグの中では通信距離が比較的短いものの、導入コストは低くなる傾向にあります。物流現場でよく使われるのはパッシブタグです。

アクティブタグとは、タグ側でも電源(電池)を持っているものです。パッシブタグに比べて通信距離が長くなりますが、電池を管理する必要があります。

最後のセミパッシブタグは、パッシブタグとアクティブタグの両方の特徴を持ち合わせています。具体的には、待機時(非通信時)にはパッシブタグと同様に電源を使用せず、リーダーで読み取ろうとすると電源により電波を発します。

ダイレクトパーツマーキング (DPM)

バーコードやRFIDタグは、商品を管理するうえで非常に重要であり便利なものです。しかし、商品に直接マーキングできれば、物流における管理はもちろんのこと、製造途中においても生産管理や品質管理、それにトレーサビリティに貢献します。そのような発想から生まれたのがダイレクトパーツマーキング(DPM)です。

具体的にはレーザーや刻印により商品に直接2次元コードを印字します。そして、バーコードやRFIDタグに登録するものと同等の情報を、2次元コードに登録して読み取れるようにしたものです。

ダイレクトパーツマーキングに使用するのは、次のようなレーザーです。

  • YAGレーザー
  • FAYbレーザー
  • YV04レーザー
  • CO2レーザー

一つ目から三つ目のレーザーはアルミニウム、鉄、ステンレス、セラミック、ABS、それにゴムに向いています。一方、CO2レーザーは金属のマーキングには向きませんが、塩化ビニル、木材(紙)、ゴム、ガラスに向いています。

もう一方のマーキング方法の打刻では、針で商品の表面を叩いて傷をつけることでマーキングします。セルサイズはレーザーマーキングに比べて大きくなるものの、YAGレーザーなどに比べて安価にマーキングできるのが特徴です。

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