ウェイビーノズルとは
フライス盤やマシニングセンタで金属を切削すると必ず発生する切粉。都度切粉を除去するためノズルでクーラントを噴射しますが、なかなか除去できないこともあります。
そのような問題を解決する画期的なノズルが「Wavy Nozzle」(以下、ウェイビーノズル)です。
プログラムでノズルをスウィング
通常のノズルは位置を決めると、その場所にしかクーラントを噴射できません。フレキシブルノズルなら後で位置を替えられますが、工具が変わる度にセットし直す必要があります。 しかし、ウェイビーノズルはプログラムを使ってノズル先端をスウィングさせられます。この動作により、従来のノズルでは落ちづらかった切粉を効果的に落とせるようになるのです。
ノズルのモードは三つ
ウェイビーノズルの動作には次の三つのモードがあります。
- FIX Mode:任意の角度に固定
- SWEEP Mode:任意の角度を任意の速度で往復
- KICK Mode:任意の角度で往復。往復中に速度を変化
ウェイビーノズルは通常のノズルと同様に固定して使うこともできます(FIX Mode)。場合によっては固定した方が良い場合もありますので、その際は固定して使いましょう。
SWEEP Modeでは任意に設定した角度を、任意の速度で往復します。設定した範囲に均一にクーラントを噴射したいときに有効です。
KICK Modeでは任意に設定した角度を往復中に、速度を変えられます。端点で減速したいときなどに通行に使えます。
製品が解決できる課題
セット替えの度に行うノズル位置調整
通常のノズルの場合、工具が変わるとノズル先端をセットする位置が変わります。セットする位置には目印があるわけではなく、セットする人の目分量になります。そのため、セットする人によってクーラントのかかり方が変わり、加工品質や工具寿命に差が出てくるのです。
ウェイビーノズルなら工具が変わっても、異なるプログラムによりノズルの動作範囲を変えるだけです。そのため、セット替え時間の短縮だけでなく、再現率高くクーラントを噴射できるのです。
切粉の清掃時間短縮
通常、切粉は工具の周りや切削していた場所に堆積していきます。従来のノズルでも多少切粉を除去する能力はありますが、比較的加工時間が長い製品において切粉は同じ場所に溜まっていく一方です。そのため、加工が終わると切粉を掃除しなければなりません。
しかし、ウェイビーノズルなら切粉を加工装置内の決まった場所に飛ばせるため、セット替えのための清掃時間を短縮できます。メーカー提供のデータでは一回あたりの清掃時間が35分から2.5分に短縮されたとのことです。
不良品の削減
切粉は常に除去し続けなければ工具の周りに堆積していきます。そのまま切削を続けると、切粉によって製品表面に傷ができてしまいます。ウェイビーノズルを使用することで都度切粉を除去することで、製品表面のキズを防げます。メーカー提供のデータでは外観キズ不良率が1.67%から0.4%におさえられたとのことです。
工具の長寿命化
切粉の除去は工具の長寿命化にも効果的です。工具に切粉が巻き付いたまま加工を続けると、工具が破損することがあります。ウェイビーノズルで効果的に切粉を除去することで、メーカー提供のデータによると工具のコストを33%削減できたとのことです。
ノズル先端のスウィングによる切粉の除去
ウェイビーノズルが他のノズルと異なる最大の点は、ノズル先端がスウィングすることです。これにより効果的な切粉の除去ができ、加工品質や工具寿命の向上に貢献しています。
スペック情報
ウェイビーノズルの基本的なスペックは以下のとおりです。ウェイビーノズルの基本スペック
定格電源電圧 | +24V DC±10% | |
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定格消費電流 | 0.45A(ノズル1台)/0.9A(ノズル2台) | |
動作温度範囲 | 0°C〜+50°C | |
動作モード | 3モード(FIX、SWEEP、KICK) | |
ノズル動作範囲 | 75カウント(1カウント=約1.8°) | |
最大ノズル動作速度 | 100カウント(=270°/sec:SWEEPモード) | |
使用可能ポンプ | 理論吐出量 | 22.0L/min |
最大吐出耐圧 | 4.0MPa | |
使用可能クーラント | JIS K2241:2000で定めるN1種~N3種までの油性クーラント | |
JIS K2241:2000で定めるA1種~A2種までの水溶性クーラント |
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