非破壊による金属の全数自動検査を実現磁気特性を応用した
硬度測定システム

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硬度測定器(システム)とは硬度測定器(システム)とは

物質(金属)において硬さは摩耗のしづらさの指標です。例えば、歯車の刃先は互いに噛み合うことで動力を伝えますが、摩耗します。このような場合、刃先に高周波焼入れをして硬度を高めます。

しかし、実際に硬度が高くなったかどうかは、検査しないと分かりません。そこで、有効なのが硬度測定器を用いた硬さ試験です。硬さ試験には二種類あり、破壊試験と非破壊試験があります。

前者は硬度が正確に分かる反面、部品を破壊(くぼみなどの変形を含む)するため、検査した部品を廃棄しなければなりません。

一方、後者は部品を傷つけることなく検査できるため、部品の廃棄ロスがないだけでなく、稼働中の設備についても硬さ試験が可能です。

硬度測定器(システム)とは

磁気を応用した非破壊金属硬度測定技術の紹介磁気を応用した非破壊金属硬度測定技術の紹介

磁気を応用した非破壊金属硬度測定技術の紹介
  • ①コイル1へ外部磁界を発生させる電流
  • ②測定材に外部磁界Hが発生
  • ③検知コイル発生した電流信号を測定し磁束密度Bを導出

非破壊の硬さ試験には、超音波の伝播特性(伝播速度)利用した方式や電気抵抗を利用した方式など、いくつかの方式があります。しかし、いずれも硬度の差に対する検出値の差が小さく、センシティブに測定できないという問題点があります。

そこで、有効なのが磁気特性を利用した硬さ試験です。
磁性体に磁石の一方の極を近づけると、磁化されて磁束密度が大きくなり、やがて飽和状態になります。その後、磁石を離して磁力をゼロにした後、磁石の反対側の極を近づけると当初と反対方向に外部磁場が大きくなっていきます。
しかし、残留磁化があるため磁束密度がゼロになっても磁力がゼロになりません。この時、磁力をゼロにするためには、はじめと同じ極の地場を与える必要があります。残留磁化がゼロになったときの外部磁化の強さを保磁力といいます。

一般に硬度が高くなると保持力は大きくなるため、その特性を利用したのが磁気を利用した非破壊金属硬度測定技術です。

検査ロス80%以上の削減

従来の破壊検査を行うためには、ラインから部品を抜き取り、切断や研磨をして試験片を作る必要がありました。さらに、検査の工数も必要になります。

しかし、このシステムを使えば、検出センサを測定対象部に接触させるだけで検査可能です。そのため、検査ロス80%以上のコスト削減効果が期待できます。

工程毎のデータ取得

部品を製作するには、材料を切り出した後に熱処理や切削、プレスや研磨といった多くの工程が必要です。しかし、従来の破壊検査では工程毎の硬度測定は難しく、視覚や聴覚などいわゆる「職人の勘」に頼ってきました。

そこで、非破壊検査を利用して各工程の状態における硬度を測定することで、不具合発生時の品質やトレーサビリティの向上に役立ちます。

データ蓄積・解析による予防

測定データを蓄積・解析していくことで、品質不具合を予防することができます。データが多ければ多いほど解析の精度が高くなり、AIを利用することで解析コストを小さくできます。

また、解析結果を活用することで設計や製造方法が改善でき品質保持とコストダウンの両立を検討できます。

非破壊金属硬度測定器(システム)の製品紹介非破壊金属硬度測定器(システム)の製品紹介

NDH-30
検出センサ2個仕様/AC電源

NDH-30検出センサ2個仕様/AC電源

NDH-20
検出センサ1個仕様/USB電源

NDH-20検出センサ1個仕様/USB電源

非破壊金属硬度測定器(システム)の実測例非破壊金属硬度測定器(システム)の実測例

硬さ基準片『HRC25』
測定値繰返し精度

硬さ基準片『HRC25』測定値繰返し精度

・測定場所
①~④箇所付近にセンサを手で接触支持
繰返し脱着にて各箇所10回測定

・測定条件
測定機種:NDH-20
周波数(Hz):1200Hz
Bp-p: 500
1周期分解能:50ポイント

硬度計の校正に使われる「硬さ基準片」を用いて、NDH-20の測定値繰返し精度を確認しました。使用したのはHRC25(ロックウェル硬さCスケール 25)の硬さ基準片です。

硬さ基準片の中心から同程度の距離にある4点を決め、各点において10回ずつ硬度を測定しました。なお、検出センサは手で接触・支持しました。

測定値は次のようになりました。

  • ①点:25.1〜25.4
  • ②点:25.1〜25.5
  • ③点:25.3〜25.5
  • ④点:25〜25.5

いずれも一定程度の繰返し精度を確認できました。

硬さ基準片3種類
測定値比較

硬さ基準片3種類測定値比較

三種類の硬さ基準片(HRC25、HRC30、HRC35)を用いて、硬度と保持力の相関関係を確認しました(NDH-20を使用)。

硬さ基準片の中心付近において、各々5回ずつ保持力を測定し平均値を算出しました。なお、検出センサは同様に手による接触・支持です。

測定値の平均値は次のようになりました。

  • HRC25:1158.4
  • HRC30:1190.42
  • HRC35:1218.9
  • いずれも一定程度の相関関係を確認できました。

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